『男は皆んなモテる為に生きてるんじゃないか』でサブカル!

バーにて

 

「俺は最近思うんだよ。男っていうのは皆んなモテる為に生きてるんじゃないかって」

 

「唐突になんだよ。とりあえずそれは違うぞ。俺は今の彼女一筋だからな」

 

「そういう問題じゃないんだよ。彼女がいようがいまいが、女の子にはよく思われたいだろ?」

 

「そりゃあ嫌われるよりいいだろう。別にモテたいって話じゃない。異性同性限らずよく思われたいね」

 

「そうかい。しかしここに来る途中、俺は見たんだ。お前がモテようとした瞬間を」

 

「そりゃお前、あれは仕方ないだろう。道端で大泣きしてるんだぞ?スルーはできねえよ」

 

「ああそうだな。俺でもあれは無視できない。けれど、問題はそこじゃない。お前はあの女に渡したろう」

 

「ハンカチぐらい渡すだろうが。連絡先を書いた紙を渡したっていうなら、それはお前の言うモテようとしているってやつだろう。しかし、ハンカチはセーフだ」

 

「ああセーフさ。お前はもう一つ渡してる。忘れてはいないだろう、タクシー代だ。あの大泣き女への対処はハンカチーフ一枚で事足りたはずだ。それにあの女の泣いてた理由、失恋だぞ。スルーしても良かったぐらいだ」

 

「見られてたか。けどなあお前はモテるから分からないと思うが、失恋ってのは随分手痛い経験だぞ。俺も学生時代にそういった経験があるんだ。ほっとけなかったのさ。タクシー代ぐらい出したっていいだろ。俺はモテようとしたんじゃない。名も知らない女の子にエールを込めて渡したんだ」

 

「お前、バカみたいにキザなことするんだな。それだとお前の体質そのものがモテようとしてるわ。お前の存在が『モテ』だわ。言っとくが俺だって失恋はしょっちゅうだぞ。とはいえあんなに取り乱したりはしない」

 

「そんなん人それぞれだろうが。それになあ、お前の場合失恋が『しょっちゅう』っていうのがアウトなんだよ。一回一回がテキトーだからたいして傷つかないのさ。お前はまだ本当の失恋を経験してないと言ってもいいだろうな」

 

「そう言われると言い返せねえわ。まあいいよ。とにかくな、俺が言いたいのは男ってのは皆んなモテようとしてるってことだよ。お前、なんか習慣とか趣味とかあったか?」

 

「筋トレは習慣だな。趣味はアウトドア全般だ。シーズン毎にやることは違ってくる。夏はよくサーフィンをするよ」

 

「お前それアウトだよ。典型的なモテ男のライフスタイルじゃねえか。筋トレにしたって、サーフィンにしたって始めるきっかけは何だったんだ?モテる為、それ以外にないんだよ。俺がギターを好んで弾くのはお前も知ってるだろうが、あれは完璧にモテようとして始めたよ」

 

「お前は潔いのな。まあ確かに、モテようという気持ちがなかったというと嘘になる。しかし健康維持だったりストレス解消だったり、そういうモテ以外の利益を得ようとしてたのも事実だ。けどなあ彼女が出来た今、俺はモテようとして筋トレしてないぜ」

 

「いや、お前は彼女にさらにモテようとして筋トレを続けてる節がある。きっとそうだろう。例えば、お前がアウトドアじゃなくインドアなら今の彼女とも反りが合わないんじゃないか?お前、昔はアニメやゲームも好きだったよな?もうからきしか?」

 

「落ち着けよ。お前が何故そこまで熱くなってるのか理解に苦しむ。お前に友達が少ないという理解には納得だ。アニメやゲームは今も好きさ。彼女はどちらかというとインドア派だから、アニメやゲームの話もよくするよ」

 

「なあ誰か女の子を紹介してくれないか。合コンでもいい。お前は顔が広いだろ?決まりだ。今月中にやろう。お前もたまには他の女の子と話した方がいい。彼女の良さを再確認出来るぞ」

 

「なんだよ急に。あのなあ俺は合コンとかはもうしないって決めてるの。彼女とは結婚も視野に入れてる。つまんないことでパーになったら堪ったもんじゃないだろ。でもまあ紹介ならあてがある。このアドレスに連絡するといい。最近知り合った子でかなり可愛いぞ。勿論彼氏はいない」

 

「なんだよお前話が早いな。さすが営業部門のエリート。サンキューな。てか下に番号あるじゃん。こういうのは唐突に掛けるといいんだよ。この勢いならいける気がするぜ」

 

「おい最初はメールにしとけって。急に電話したら驚くだろうが。酔いに任せるのはダセェぞ」

 

「五月蝿え。おっかかった」

 

『誰ですかあ!今、泣いてるんです...。あとにしてくださいぃ』

 

「とりあえず切るわ」

 

「その...悪かった」

 

「俺さあ、やっぱり思うんだよ。男ってのは皆んなモテる為に生きてんじゃないかって」

 

 

「同感だ。ここは奢るわ」

 

 

 

「いやいい。この大泣き女、口説いてみるわ」