『なんか知らんけどあいつの脛めっちゃ蹴りたい』でサブカル!

なんか知らんけどあいつの脛(スネ)めっちゃ蹴りたいわ。

 

 

 

という感情に苛まれたことはないだろうか。

 

 

 

俺は歩いてる時、頃合いの奴を見かけては『なんか知らんけどあいつの脛めっちゃ蹴りたい』と思うのだ。

 

 

 

 

 

嘘じゃない。三週間に17回思ってると言っても大袈裟じゃないだろう。

 

 

 

 

実際に蹴ってみたことがある。前から向かってくる『なんか知らんけどめっちゃ脛蹴りたいやつ』の脛を思い切り蹴飛ばしてみたのだ。

 

 

 

 

するとどうだろう。そいつは激昂するかと思いきや笑顔を湛えてこう言うのだ。

 

 

 

 

『いい蹴りじゃないか。君に蹴られたおかげで親戚のヘルニアが完治したよ』

 

 

 

 

俺はこの瞬間、おそらくこいつは頭のおかしいやつなんだろうと決めつける他なかった。

 

 

 

 

目の前の人間の脛を突然蹴る俺よりもおそらく、こいつは頭のおかしいやつなんだろうと感じた。

 

 

 

 

後日、意気投合したそいつに連れられ、ヘルニアの親戚に会いに行くとこう言われたのだ。

 

 

 

 

『おお君か。君のおかげでヘルニアが完治したんだよ。全くもうなんてお礼を言ったらいいか分からない。俺の娘と結婚させてやるぞ』

 

 

 

 

俺は唐突に結婚したくなった。ヘルニアが完治した馬鹿の娘と結婚したくなったのだ。

 

 

 

 

12ヶ月が経ち、俺はその娘と4回映画デートを重ねて結婚した。

 

 

 

観たのは全てシンドラーのリストだった。

 

 

 

俺はその娘と仲良く暮らしていたのだが、ある日唐突に頭に過ぎった感情があった。

 

 

 

 

『なんか知らんけどこいつの脛めっちゃ蹴りたい』

 

 

 

 

俺はその娘の脛を蹴飛ばした。おそらくこいつもイカれているから、激昂せずに笑って気が狂ったことを言うのだろうと思っていた。

 

 

 

 

しかし娘はこう言うのだ。

 

 

 

『なにすんのよ。あなたのせいでお父さんのヘルニアが再発したじゃないの』

 

 

 

 

俺は混乱して、後日最初に蹴飛ばしたやつの親戚の家を訪ねた。

 

 

 

 

彼はヘルニアが悪化していた。

 

 

 

 

俺は娘と離婚し一人になり、憂鬱を抱えて川越を歩いていた。

 

 

 

 

目の前から猿のような顔をした男が4人歩いてきた。

 

 

 

 

俺は脛を蹴飛ばした。

 

 

 

 

 

気づいたら俺はある病院の診察室で医者を前に座っていた。

 

 

 

 

『やっと目が覚めましたね。気分はどうですか』

 

 

 

 

俺はやはり『なんか知らんけどこいつの脛めっちゃ蹴りたい』と思った。

 

 

 

 

その後のことは覚えていない。

 

 

 

ただ1つ確かなのは、

 

 

 

 

 

 

 

この文章には何の意味もないということである。